40年のキャリアの集大成。
技術と社会をつなぐ、プロセスエンジニアの使命

サステナベーション本部 技術担当部長 
A.Hさん

  1. CAREER
  2. 入社の経緯
  3. 仕事内容
  4. 経験・スキル活用
  5. やりがい・次世代継承
  1. CAREER

    1987年
    大阪大学大学院 基礎工学研究科 化学系専攻 修士課程修了(化学工学分野)
    1987年~
    大手化学メーカー 研究職・プロセスエンジニア・製造部門・企画/業務室・海外プロジェクト
    2025年
    ハイケム株式会社 入社(技術担当部長)
  2. 入社の経緯

    これまでのご経歴を簡単に教えてください。

    大学院では化学工学、特に反応工学やプロセス設計を専攻しました。実際に製品が社会実装されるプロセス、すなわちフラスコレベルの研究を実機へ展開するダイナミックな学問に魅力を感じ、この学びが後の仕事人生に大きく影響しました。研究テーマは石炭の水素添加ガス化で、今ハイケムが取り組んでいるC1技術、まさにSEG®プロセスの原料である石炭由来の副生ガスに関連する内容を40年前に研究していたことに縁を感じています。

    卒業後、大手化学メーカーに入社し、最初の7年間はプロセス研究所(当時)にて、さまざまな製品やプロジェクトのプロセス構築に従事しました。その後、製造部門に異動し、自社開発技術を用いた最新プラントの立ち上げを経験。製造課長として製造管理全般を担い、新プラント立ち上げ時には約100名の部下を率いると同時に、技術リーダーの役割を担うプロセスエンジニアとして、開発部門と製造部門の橋渡しも行いました。その後、海外プロジェクトに参画し、サウジアラビアにて製造部門の部長職として数年間赴任。現地工場の立ち上げ計画および管理を担当し、フィージビリティスタディからライセンス技術の選定、操業開始まで一貫して携わりました。

    帰国後は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に出向し、バイオマスエネルギーやSAF航空燃料を担当。海外政府機関の方々との交渉や各国方針に関する協議を通じて、カーボンニュートラル推進に貢献しました。その後元の化学メーカーに戻り、製造技術統括リーダーとして若手育成や合理化プロジェクトのマネジメントを担当しました。

  3. 仕事内容

    今の仕事内容は?

    NEDOに出向していた時、ある想いが芽生えました。「これからの人生は、環境やカーボンニュートラルという文脈で、これまで培ってきた技術を社会に還元したい」と。

    その想いはしばらく封印していたのですが、定年後に再雇用として前職に勤務していた折、ハイケムから技術担当部長として来ないかとお声がけいただきました。ホームページのコーポレートビジョンのページを拝見したところ、「We are the BRIDGE」という印象的な言葉が飛び込んできました。読み進めるうちに、ハイケムが環境への取り組みだけでなく、経済性との両立を真剣に考えていることを知り、深く共感しました。これはまさに私がこれまで追求してきたテーマそのものでした。

    さらに、日本で埋もれてしまった優れた技術を中国で社会実装し、そこから世界へ発展させていく――このハイケムの懸け橋としてのビジネスモデルにも強く惹かれ、その一翼を担いたいと思いました。

    大学での石炭ガス化の研究、前職での製造現場とプラント立ち上げ、サウジアラビアでの技術移転。これまでの40年のキャリアのすべてが、この瞬間のためにあったのではないか。そう感じたのです。プロセスエンジニアとしてこれ以上の舞台はない。まさに自分の仕事人生の集大成となる仕事だと確信しました。

    今の仕事内容を教えてください。

    サステナベーション本部で技術担当部長として、主にライセンス技術を担当しています。
    私の役割は、ハイケムが取得した技術に関して、お客様のニーズに合わせた技術ソリューションの提案や、技術移転に関する交渉を含むライセンス技術業務を担当することです。また、社内で開発した技術をライセンス先で工業規模にて実現するためのプロセス設計やライセンス資料構築支援も行っています。

    この業務では、触媒事業、C1事業部、素材研究室、東京研究所など、部門横断的に技術全体を俯瞰し、各部署の橋渡し役を果たすことが求められます。これまでハイケムは各部門にプロフェッショナルがいて、それぞれが専門性を発揮することで素晴らしい成果を挙げてこられたのだと思います。しかし、今後はハイケム自身が開発する技術も増えていきます。そうした技術をさらに磨き上げ、パッケージ化し、世界に届ける――そのプロセスで私のようなプロセスエンジニアの知識と経験の出番が来ると考えていま

  4. 経験・スキル活用

    長年の経験が活かせていると感じる瞬間は?

    技術的な課題に直面したときの判断力ですね。約40年のキャリアで培った経験から、理論だけでなく実際の製造現場で起こりうる問題を予測し、実用的な解決策を提案できる。これが私の最大の強みだと思っています。

    私が目指しているのは、「道しるべ」としての役割を果たすことです。ライセンス交渉からライセンスパッケージ作成、EPC(エンジニアリング、調達、建設)、プラント立ち上げに至るまでの豊富な経験と、全体プロセスを俯瞰できる強みを生かし、プロジェクトの最前線で奮闘する仲間たちに、「このタイミングではこうすべき」といった具体的な助言や情報発信を行っています。プロセスエンジニアとして長年培ってきた知見を、次世代や今後のプロジェクトへとつないでいく。それが、今の私の使命です。

  5. やりがい・次世代継承

    次世代への継承において、心がけていることは?

    一言で言えば、「恩返し」ですね。自分が社会から受けた恩恵を、次の世代に還元していく。それが今の私の役割だと思っています。
    最も大切にしているのは、「なぜそう考えるのか」という思考プロセスを伝えることです。単に答えを教えるだけでは意味がない。どのような経験や理論に基づいてその判断に至ったのか――そのプロセスを丁寧に伝えることで、若手や中堅技術者が自分で考え、判断できる力を育てたいと思っています。

    それから、プロセスエンジニアリングの基礎知識をもつ研究者や技術者の育成にも力を入れています。今、人事と一緒に進めているのですが、ハイケムがこれからさらに成長し、自社技術を磨き上げて世界に展開していくためには、組織的なトレーニングも必要だと考えています。技術を持っているだけでは不十分で、それをいかに効率的に、戦略的にビジネスに結びつけるか。そのためのエンジニアリング力を、組織全体で高めていくためのお手伝いをしていきたいですね。